Modeling Tool


■ 原子配置モデリングツール

シミュレーション対象とする物質のミクロな構造を入力するための原子配置モデルファイルを作成します。
SPM シミュレーターでは測定試料や先端のチップの構造を入力するために本ツールを使用します。


■ モデリングツールの主な機能

① 結晶性周期構造モデリング 半導体薄膜や鉱石・セラミックス等の結晶性の周期構造を持ったモデルを作成する機能

② 分子モデリング 他のソフトでモデリングした構造の読み込みや、3次元的な原子配置をモデリングする機能

■ 結晶性周期構造の生成機能

周期的な構造を持つ物質について、その結晶情報からモデルを作成することができます。これには半導体薄膜やセラミック、鉱石、金属(単体・合金)等、広範な物質を対象としています。
また、周期表に現れる全ての原子について構造モデルを作成可能です。
結晶の空間群や格子定数、原子種とその位置の情報を入力することで、単位格子1つ分の構造及び任意の格子数の構造を生成することができます。
特定の格子面を結晶表面として指定することができます。

■ 分子モデリング機能

原子を個別に選択し、相対位置指定による位置調整、原子複製、削除により、構造の微調整ができます。個々の原子を操作して欠陥・不純物や探針構造を作成することができます。原子の複数選択にも対応しており、その複製や削除により、より大きな繰り返し構造等のモデリングが可能です。
ダングリングボンドを自動認識し、自動で水素付加する処理を行うことができます。

■ データ読み込み機能

他のソフトでモデリングしたファイルから構造を読み込むことができます。
Tinker xyzフォーマット(.txyz)、プロテインデータベースフォーマット(.pdb) 、xyz座標フォーマット(.xyz)の読込み・保存(pdbは非対応)が可能です。

■ 作成例・読み込み例がご覧いただけます。(元の大きな画像は画像をクリック)

{ 作成例 } シリコン薄膜

物質の対称性についての情報として、空間群や格子定数、格子内の既約原子座標を入力します。結晶の対称性についての情報はインターネット上のデータベースや論文などから得られます。
シリコンの単結晶の結晶情報を右記に示します。


単結晶シリコン
結晶格子: Cubic
空間群: No. 227 (F d -3 m)
格子定数: 5.43 Å
既約原子座標: Si: ( 0, 0, 0)

特定の格子面を結晶表面にしたモデルは、結晶格子面のミラー指数の指定により作成することができます。左図は(001)面、右図は(111)面を表面として作成しています。


{ 作成例 } ジルコニア(ZrO2

ジルコニアの結晶情報を右記に示します。左図が単位格子1個分、右図が単位格子8個分(2x2x2)のモデルです。


ジルコニア (ZrO2
結晶格子: Monoclinic
空間群: No. 14 (P 21/c )
格子定数:
a: 5.150 Å
b: 5.208 Å
c: 5.317 Å
β: 99.22 °
既約原子座標:
Zr: ( 0.2746, 0.0407, 0.2078)
O1: ( 0.0705, 0.3327, 0.3447)
O2: ( 0.4499, 0.7588, 0.4793)

{ データ読込み例 } HOPG(グラフェン、グラファイト基板)

{ データ読込み例 } シリコンの5x5 das構造



{ データ読込み例 } ChemSketchにより作成した分子:4-oxyphenylazobenzene



■ シミュレーターの仕様

シミュレーターでは用いる電子分布モデル等により使用可能な原子種が制限される場合があります。
SPMシミュレーターでは古典力学パラメータMM3を用いており、多くの元素に対応しています。

■ 機能追加の提案

操作のバリエーションを増やすことより複雑なモデリングが可能となるような応用も考えられます。
ファイルフォーマット読込み対応
対応原子数